萩と牡丹と聞いて、なにを思い浮かべるでしょうか?
萩といえば秋の七草のひとつで、赤紫の花を咲かせるのが特徴です。また牡丹は古くから花の王と呼ばれ、春ごろに大きく色鮮やかな花を咲かせます。
しかしこのふたつが並ぶと、花ではなく、おはぎとぼた餅という和菓子を思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。
秋分の日にお供えするおはぎは、春にはぼた餅と呼ばれます。このふたつは基本的に同じものを指しています。ただ昔は、秋に収穫したての小豆をそのままつぶあんにしたのがおはぎ、冬を越して固くなった小豆をこしあんにしたのがぼた餅、という違いはあったようです。また、ぼた餅があんこだけなのに対し、おはぎはきな粉やゴマ、青のりなどをつけることもあります。
多少の違いがあるものの、春の牡丹、秋の萩に見立てて、『牡丹餅』、『御萩』と呼ばれているのです。
また、おはぎはもち米を搗かずに半搗きの状態にすることから、つきしらず。それに月を当てはめて『月しらず』。さらに月が見えない方角ということで『北窓』とも呼ばれます。つきに到着の着を当てはめれば、『着き知らず』。ひいてはいつ着いたかわからないから『夜舟』。さらに搗く音がしないから隣にばれないということで『隣知らず』。
このように、おはぎとぼた餅はその名前で七変化します。
その変化は駄洒落や言葉遊びのようなものが多いですが、これも日本の文化のおもしろいところであり、萩と牡丹のように、自然の草木もその文化の中に密接に存在しているというのは、とても興味深いです。
0コメント