近年、森林の減少や環境変化により、野鳥やフクロウたちの営巣場所が減少しています。特に樹洞を利用して子育てをするフクロウにとって、適切な大木の減少は生存に関わる深刻な問題です。
そこで今回は、三重県菰野町でお庭手入れさせていただいているお庭で、フクロウたちの新たな住まいづくりに取り組みました。
フクロウは秋から冬にかけて営巣場所を探し始め、春先に卵を産み、子育てを行います。本来であれば10月から1月ごろに巣箱を設置するのが理想的です。これは、フクロウたちが落ち着いて環境を確認できる時間を確保するためです。
今回の設置は3月となり、今シーズンの営巣にはやや遅いタイミングですが、これは次の繁殖期に向けた準備と考えています。フクロウたちが時間をかけて新しい住まいに慣れ、来シーズンには安心して子育てができる環境を整えることが今回の目的です。
巣箱の設置場所として選んだのは、モクレンです。このモクレンになるべくダメージを与えないように巣箱を取り付けました。
一般的な金属製の釘やボルトではなく、モクレンの木から作成した木釘を使おうと当初計画しておりましたがシュロ縄だけでも固定はできたので観察しながら様子をみさせていただこうと思います。
巣箱は地上から約4m30cmの高さに設置し、カラスやテンなどの捕食者から身を守れるよう、周囲の環境にも細心の注意を払いました。
フクロウ用巣箱 設置情報
巣箱基本情報
巣箱ID/名称: 木蓮庵
製作日: 2025年3月5日(水)
材質: 下地は合板(コンパネ)、外装は廃材
装飾: 屋根に杉皮、入口と横開閉部取手に杉丸太、外装に柿渋塗装
誘致対象鳥種: ウラルフクロウ
入口直径: 19cm
巣箱サイズ
外寸: 縦74cm × 横40cm × 奥行40cm
内寸: 記載なし
設置情報
設置日: 2025年3月20日(木)春分の日
地域: 三重郡菰野町
気象条件: 晴れ、気温20.5℃、湿度26℃
環境タイプ: 山林近くの住宅(道路あり)
設置樹種: モクレン
設置高さ: 地面から入口下まで約4m30cm
向き: 北北西
周辺の主な植生: ツバキ、クリ、しだれ梅、ケヤキ、コナラ、モミジ、サクラ、アセビ他
巣箱の設計には、フクロウの生態を考慮して制作しました。
床面積:40cm × 40cm 以上の広さを確保
高さ:70cm 程度で上下の空間を十分に
入り口:直径19cmのフクロウが出入りしやすいサイズ
入り口の高さ:床面から約35cmで安全性を確保
巣箱の向き:東~南向きで風雨の影響を最小限に 今回は施主様のご意向で窓から見える向きにしています。
内装:木くず、チップ、乾燥した苔で自然に近い柔らかな環境を再現(今回はカブトムシ用のマットを施主様用意してくれて使用)
発見例が少ない種のコガネがフクロウのペリットやふんなど有機物を食べて住処にするそうです。
外装には杉材を使用し、耐久性を高めるために柿しぶコートGで仕上げました。化学物質を含まない自然由来の塗料を選ぶことで、フクロウが安心して利用できるよう配慮しています。
フクロウの巣箱設置や自然環境保全に関心をお持ちの方は、ぜひ剪定屋空までご連絡ください。一本の木を守ることが、一羽のフクロウを守り、やがて森全体を守ることやお庭を守ることにつながると信じています。
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